卒業論文 
「樹状柱の形態と表出形式からみる架構表現」
序文
 枝分かれした形態を持つ柱(以下、樹状柱)は、その力学的特性だけでなく、樹木を想起させる特徴的な形態の魅力をひとつの要因として、多くの建築作品に用いられている。例えば、篠原一男による「谷川さんの住宅」では、柱の中途から2本の方杖が伸びる単純な樹状柱が、平滑で抽象的な天井面と対比的に表現され、一方、松田平田設計の「埼玉工業大学ものつくり研究センター」では、天井架構と連続する複雑に分岐した柱の林立によって森林体験に似た空間が表現されている。そこで本稿では、樹状柱が用いられた日本の建築作品1)を資料とし、その形態と表出形式を検討することで、架構による空間表現の一端を明らかにすることを目的とする。
修士論文 
「現代建築家の分解図における分節と統合にみる建築の構築性」

序文
 建築の図面は具体的な設計内容を伝達するだけでなく、建築家の思考が表れる重要な建築表現のひとつである。その中で、機械設計などの分野において用いられる、構成部品同士の関係を示す分解図は、建築の発表図面でも使用されることがあり、その図面表現からは分節と統合からなる建築の構築性を読み取ることができる。例えば、石山修武による「幻庵」の分解図では、外形および内部のほぼすべての構成要素を分節して描き、それらを等価なものとして統合する全体像が示されている。このように建築を要素の構成から捉えることは、ケネス・フランプトンが建築のあり方に関して構築術という視点を提示したこと1)からも重要であると考えられる。そこで本研究では、現代建築家による分解図2)を資料対象に、要素の分節と統合の関係を検討することで、図面に描かれた建築の構築性の一端を明らかにすることを目的とする。
現在、22年度の学会大会での発表に向けて再考中…
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